WAR IS OVER!
70年代ROCKは僕たちに何を教えてくれたんだろう・・
Wanted! the Outlaws [Import, From US]
ウェイロンジェニングス
米軍放送のAFN(昔はFENと呼ばれていました)にはカントリーのヒットチャートの番組があります。驚くことに、現在のカントリーはメロディはおろか節回しまでも流行りのポップスと変わらない曲が多いです。カントリー専門の放送局で扱うからカントリーのヒットになるというのは、エルヴィス・プレスリーのロカビリーもかつてはそうでありました。そういうのはあくまでも例外で、60年代以降のカントリーの主流は割かし大人向けのポップなもので、フィドルやマンドリンなどの弦楽器を使う伝統を守り受け継ぐというカントリーに対するイメージからずれています。今回取り上げるウェイロン・ジェニングスはそういう伝統を引き継いだ人なのですが、それに70年代ロックの精神を吹き込みロック好きの若者も惹き付けて、彼の「アウトロー」はカントリー界で認知されることになりました。「アウトロー」というのはナッシュヴィル流のきっちりした曲作りが合わなかった彼が見つけた金脈と言えるし、そういうものをちゃっかり売り出すというカントリー界には商魂逞しいものがあるし、「アウトロー」という枠を抜け出して彼がロックに転身するということもありませんでした。それでも彼自身が好奇心と追求心のあるミュージシャンであったからこそ、全盛期の曲には良質のカントリー・ロックにあるような新鮮さと興奮があるのかもしれません。