小学生の頃、所謂グラフィックデザインとの最初の出会いは紛れも無く横尾忠則だったと思う。横尾さんの作品に子供の僕が虜になったのは色だった。インパクトのある色が最初に目にとびこんできた。そしてなにより子供の僕にはかっこいいと写ったグラフィックデザインの最初が横尾さんだった。
1960年代から横尾忠則さんが行ってきた一連の仕事。当時の特異性は、モダンデザインの潮流に反して、土俗的な日本を表現に取り入れた点にある。横尾さんの仕事を最初に評価したのが、「日本的なるもの」に生涯こだわっていた三島由紀夫や寺山修司だったというのも頷ける話だ。横尾忠則さんが扱ってきたモチーフは宮本武蔵や高倉健など、ドメスティックなものが多い。そのため、作品は案外グローバルには知られていない。
小学生だった僕はとにかく横尾さんの作品に憧れたし、その後数々のグラフィックに興味をもつようになっていった